グリーンコアテック社創業メンバー。
電子機器業界で生産技術、開発、マーケティング販売、経営管理に25年間従事する。
現在は日中間で拠点を持ちビジネスを展開中。
2020年1月、コロナ危機が勃発した中国におり、パンデミックの中で、日本に戻る時機を伺っていました。しかし、3月に東京オリンピックが延期され、渡航制限も始まり帰国を断念、計画を見直さざるを得なくなりました。
その頃、日本の飲食店は客が入らず苦境に立たされるニュースがネットで流れていました。食事中にマスクはできないし、夏場に扉や窓を開けて換気すると冷房が効かなくなるし、飲食業界にお役に立てる何かいい方法はないかといろいろ調べ始めました。日本にいる事業パートナーと情報交換をしているうちに、換気の悪い所に空気清浄機が有効だという厚労省からの情報をキャッチし、更に多くの飲食店で換気をしたくても換気扇がなかったり増設が困難であったりする事を知り飲食店向け空気清浄機の調査を始めました。
二年前に知り合いから聞いた不織布フィルタ(以下HEPAフィルタ)を使わない空気清浄装置のことを思い出しその製造メーカーを訪ねました。すると、その技術を使って新製品を今まさに開発している事が分かりました。
開発中の製品は電気集塵式フィルタと呼ばれる静電気を使う方式で、HEPAフィルタのように不織布を使わないので詰まり難く、フィルタが金属のため何度も洗う事が出来ます。
更にコンパクトで電気代を抑える事が出来る特徴があり、良い事尽くめに見えます。ウイルス相当の微粒子が捕捉出来る事は分かっていましたが、実際にウイルスが取れるかどうかはやってみないと分かりませんでしたので、より小さな微粒子を取れるように改良と調整を重ねました。
2020年8月に代替ウイルスを用いた試験を実施し見事にウイルスを除去出来る十分な性能がある事が証明されましたので、9月から量産を開始して市場にお届けする運びとなりました。
日本メーカーの空気清浄機の95%以上はHEPAフィルタを使っています。濾過性能が高い上、シンプルでコストも安いですが、油煙がある場所で使うと清浄性能が急激に落ち、期待されたウイルス捕捉が出来なくなる恐れがあります。定期的にHEPAフィルタを交換すれば性能を保つ事は可能ですがフィルタの購入と交換はお金も手間も掛かります。他方、静電気を利用してほこりを除去する空気清浄機(電気集じん式空気清浄機)もあり、油煙があっても目詰まりが起きにくく、清浄性能が落ちない特長をもっています。
ベルエールは中国の空気清浄機メーカーとの共同開発先であり生産委託先になる訳ですが、実は空気清浄機業界では有力企業であり、BOSCH(独)、Honeywell(米)等の欧米大手企業と取引があり、高い技術力と実績のある会社です。会社見学でまず感心したのは、中国の国家認可を受けた試験室を自前に持ち、空気清浄機関連の試験装置を豊富に揃えているところです。
しかし、それ以上感心したのは、製品の改良に余念がないという経営者の姿勢です。こちらの提出した改良点を素直に受け入れ、誠実かつ迅速に実施して頂いています。弊社からすると製品の改善に共に努める事が出来る良いパートナーに巡り合えたと感じております。
そうですね。
アメリカの疾病対策センターも飲食店を主要感染ルートとした上で、浮遊菌を減らすために空気清浄機を使うことを勧告しました。また、日本の小規模事業者持続化補助金の中で、空気清浄機も補助対象商品となっています。ワクチンが普及されるまで、日常のコロナ対策として、空気清浄機はマスクに次ぐ有力な対策グッズではないでしょうか。
日本ではワクチン接種は進んでいますが、新たな変異株の出現により収束がまだ見通せない状況が続いています。経済活動か、それとも感染防止か、それぞれの立場の人の間に議論が起こっています。しかし、飲食店に限っていえば、お客様が飲みたい、飲食店様も営業したい、けれどもだれも感染はしたくない、という中で、換気が出来るところは換気で対応し換気がし難いところでは空気清浄機の導入はウイルス感染のリスクを最小化しながら経済を回して行く最良の手段の1つだと考えます。無論、空気清浄機を導入すれば感染が発生しないわけではありません。これまでの感染対策をしっかりとやり、その上に空気清浄機で感染リスクを下げ、何とか経済を少しでも回していく事に貢献したいと考えております。いつか、友とねぎらいの一杯が飲める環境づくりに、ぜひ一役を買わせて頂きたい、その気持ちで、感染対策に役立つ機器の開発改良と普及に励んで参りたいと思います。